今回は、ダイエットや美顔などを求める人に向けて鍼灸を行う龍虎道鍼灸院院長で鍼灸マッサージ師の羽瀧泰洋さんに、行っている鍼治療や今後の展望などのお話を伺った。
■ダイエットに導くための鍼治療
鍼治療を行う理由には、肩こり、腰痛などの痛みに対する治療から、お顔のリフトアップ、むくみ解消などの美容目的までさまざまだが、その中でも龍虎道では東洋医学的な観点、また鍼灸の強みでもある自律神経の調整をテーマにダイエットに導くための鍼治療を行っているという。つまり痩せる事により身体のパフォーマンスを上げることを念頭に施術を行っていると羽瀧さんは話す。
なぜダイエットにフォーカスしているのか。それは、羽瀧さんの考え方が非常に興味深い。「現代は飽食である」物が溢れていて、食べすぎる事により胃と小腸が悲鳴を上げている。その結果、胃と小腸は強くなる。要するに筋トレしているのと同じである。と話す。鍼によってお腹全体の動きを抑制していくことを提案。むしろ調子を落とす事で各内臓のバランスがとれダイエットに導いている。
例えば、フレンチレストランでは、体重40kgの女性と80kgの男性に同じコースメニューが出てくる。量が多いと感じても、「食べないともったいない、シェフに申し訳ない」と考える人が多いが、「食べすぎて病気になってしまうほうがもったいない」と談笑しがら患者さんの施術を進めていると羽瀧さんは話す。
治療を受けたお客さんからは、「体重が落ちた」「食欲が収まった」などのほか、「よく寝られる様になった」「生理不順が改善された」「冷えが解消された」などの健康面の変化の声も多くあるという。
■身体のパフォーマンスを上げ健康になる鍼治療
総合的に考えればダイエットの他に、鍼を打つことによって自律神経の調整ができることにより、健康に導かれると考えているそうだ。顔や背中に打つことで、自律神経系の反射が伴って、内臓の調子が良くなったりする人も多いという。
現代のあらゆる疾患は、自律神経の乱れから来ると言われていると羽瀧さん。大きなストレスが身体に加わると、自律神経が乱れ、疾患になってしまう。この大元と考えられている自律神経に対してアプローチする、東洋医学でいう「根治療法」にあたり、これが鍼灸の強みだという。
なぜこの施術の仕方に注目したのかと尋ねたところ、羽瀧さん自身、スポーツ選手につくメディカルトレーナーになりたくて、鍼灸の世界に入ったという背景がある。北欧でのクロスカントリースキーのワールドカップや学生のユニバーシアードの大会に同行した際、女性の選手から、寒冷喘息やPMS(生理前症候群)、時差ボケによる不眠などの悩みを聞く中で、自律神経系の施術を行ったところ、選手のパフォーマンスがぐんと上がったそうだ。
それが治療家としての転機となった。身体の一部分だけをみるのではなく、もっと大きい、本質の部分をみていったほうが、確実に効果が現れるのではないかと気づいた。一部の痛みをとるだけでなく、人が持つ「自律神経」と言う装置にアプローチする事が大事だと羽瀧さんは語る。
ちなみに「季節の変わり目」は自律神経が乱れやすいので注意が必要だ。定期的に鍼灸を受ける事は病気の予防にもつながりお勧めだそう。
■今後の目標
今後はどのような展開を考えているのか。羽瀧さんは「鍼灸界の発展」を一番に見据えていると話す。少し前のデータだが日本の鍼灸の受診率は約5%といわれており、もし10%に上がれば、鍼灸がもっと根付き、鍼灸の先生たちも豊かになり、もっと言えば「未病」という病気になる前に、症状を抑える考え方から健康維持ができることで、国の医療費の抑制にも貢献できると考えているという。
鍼灸界の発展を支えるために実際に行っていることは、羽瀧さん自身が「はだきんぐ」と称しリポーターとなり鍼灸師を紹介するという動画を多く撮影、発信している。鍼灸師の認知が世の中に広がれば、「鍼治療を受けてみたい!」と思う人が増えもっと身近なものになるのではと羽瀧さん。今後も、さらに活動を進めていくと締めくくった。