「答えがないからチャンス」宇宙知識ゼロの文系社長が「宇宙商社」を設立!わずか3年でNASAやJAXAと仕事をするに至った理由

2020/12/24
マガジンサミット編集部

民間主導による宇宙船や人工衛星が運用されるなど「宇宙ビジネス」が世界的に拡大していく中、日本初の「宇宙商社」として注目を集めているのがSpace BD株式会社。2017年に創業し、2018年には国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が初めて民間開放した「国際宇宙ステーション日本実験棟『きぼう』からの超小型衛星放出事業」に事業者選定される。以降、続くJAXAの全事業者選定案件に選定され、国内外のユーザーへ宇宙の利活用サービスを展開している。

同社の生みの親は「スターウォーズすら見たことがない」という「宇宙知識ゼロ」の文系社長でした。宇宙知識ナシの社長が「誰もやったことがない仕事をする!」という思いだけで日本初の「宇宙商社」を作り、どのようにアメリカ航空宇宙局(NASA)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協業するまでに至ったのか。代表取締役社長の永崎将利さんにインタビューし、その秘密に迫りました。

Space BD代表取締役社長・永崎将利さんインタビュー

現在の宇宙ビジネス業界の方向性についてお聞かせください。

永崎「私は宇宙を舞台に事業を始めるにあたり、たくさんのデータを読み込み、有識者の方々にヒアリングもさせていただきました。ある方は『衛星の小型化が進んでいて、爆発的に広がる』と仰っていて、別の方は『その衛星を使ってどうやってビジネスするか確立されてない』と言って、さらに『データ利用にいかないとダメだ』という話もありました。」

業界全体でも方向性はあまり定まっていないということでしょうか。

永崎「はい。また純粋な民間としてのお金のフローで利益を出しているところはほとんどなかったんです。ハードや技術に関しては多くの有識者が将来の展望を語りますが、宇宙産業に誰がどこからお客様を連れてくるのかという点においては『まだ誰も答えを持ってない』という考え方に行きつきました。であれば、自分が答えを見つければパイオニアになれるのではないかと思いました。」

宇宙ビジネスへ飛び込んだ理由は?

永崎「答えがないから不安になるというよりも、パイオニアになれるチャンスかもしれないという期待の方がありました。宇宙事業に出会う前まで、私の中には『マグマ』が溜まっていました。」

宇宙ビジネスへの挑戦を駆り立てた、永崎さんの中の「マグマ」とは何なのでしょう?

永崎「『答えがないからチャンスだ』という思考になったのは、自分が独立して3年以上たって、無職だった時代もあって、何者かになりたいという思いが溜まっている状態になっていたからだと思います。もし私が大企業を辞めてすぐにこのチャレンジを提示されても、受けられなかった気がします。あの期間がなければ、宇宙ビジネスへの最初の一歩を踏み出せていないと思いますね」

今後の宇宙ビジネスの可能性についてお聞かせください。

永崎「これまで宇宙は科学実験や探査を目的とした活用をされてきましたが、今は世界中が『宇宙をどう使うか』というチャレンジをしている最中です。また、ある方には、『人間が地球環境を破壊せずに拡張していける産業は、宇宙かバーチャルしかないのだから、是非頑張ってください』というお言葉をいただきました。宇宙を経済圏にしていくことで、サステナブルに発展していく産業づくりにも寄与できると信じています。」

現在進行形のプロジェクトについてお聞かせください。

永崎「2020年5月に打ち上げた、Space BDのスペインのお客様SATLANTIS社の地球観測カメラ『iSIM』が現在まだ国際宇宙ステーションに設置されています。この案件はスペインにおいても民間初の案件となり、同国内でもかなりの盛り上がりを見せ、国際宇宙ステーション内で機器の搭載をする際には、スペイン国王フェリペ6世が日本とスペインのパートナーシップに関して祝辞を述べてくれました。」

同社のこれまでの軌跡は、永崎氏自らの手による小説『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』(アスコム)としてもまとめられています。今後ますます民間レベルで「宇宙ビジネス」への注目度が上がっていきそうなだけに、日本初の宇宙商社・Space BDから目が離せなさそうです。

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