2022年の日本の出生数合計は統計開始以来、初めて80万人を下回りました。また、少子化が進む一方で不妊治療患者の数は45 万人前後とされています。
このような状況の中、2022年 4 月には不妊治療に対して保険の適用が開始され、保険適用外となっていた先進不妊治療に対しても多くの自治体で助成制度が始まっています。今回はそんな助成制度の現状や、今できる正しい妊活術などについて紹介します。
不妊治療への保険適用
2022 年4月から、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について保険が適用されることになりました。「生殖補助医療」は採卵から胚移植に至るまで全て保険が適用され、患者の状態等に応じ追加で実施される治療等のうち、先進医療に位置付けられたものは保険診療と併用可能になります。
先進不妊治療に対しての助成
東京都では、2022 年 4 月 1 日以降に開始した治療を対象に、体外受精及び顕微授精を行う際に、保険適用された治療と併用して自費で実施される「先進医療」にかかる費用の一部を助成することを発表。2023 年 1 月 4 日より申請の受付を開始しています。また、各自治体によって助成額や条件などは異なりますが、他の自治体でも助成制度が開始されています。
ビタミン Dと不妊治療
ビタミンDは腸管からカルシウムやリンの吸収を促進する作用や骨の成長を促すビタミン。2019年にイギリスでこのビタミンDと、体外受精や顕微授精など生殖補助医療(ART)の治療結果の関連を調査した論文が発表されました。調査では500 名の女性を血中ビタミン D 濃度により「欠乏群」、「不足群」、「充足群」に分けています。
血中ビタミン D 濃度と出生率を比較してみると、欠乏群23.2%、不足群27.0%、充足群37.7%という結果に。着床率や妊娠率に関しても同様にビタミン D 充足群が最も高い成績を示しています。
この結果は、ビタミン D の酵素と受容体が子宮内膜で発見されていることから、受精卵の着床にはビタミン D が重要な役割をしているためと考えられています。
※本論文の研究結果に関しては、介入試験も必要だと言われています。
今できる正しい妊活術
ビタミンDは妊娠に関して重要な栄養だということが分かりました。では、ビタミンDはどのような食材から摂取できるのでしょうか。ビタミン D は魚やきのこ類、卵黄などに多く含まれています。脂溶性のビタミン D は熱に強いので、炒め物や揚げ物など油を使う料理でより効率的に摂取できます。
また、ビタミン D 摂取が不妊治療に有効であることに加えて、胎児の先天異常である神経管閉鎖障がいの予防のために葉酸を摂取したり、母親の産後うつを防ぐための鉄分摂取なども意識していきしょう。
今回は、不妊治療に関する制度や、ビタミンDについて、ビタミンDはどの食物からとれるのかが分かりました。治療をしている方は食事も見直してみてはいかがでしょうか。