電動車いすはこれからの時代の『新しい移動手段』!?経産省調査、高齢者は「1人で自由にお出かけを楽しみたい」外出不足は心身の健康に悪影響との懸念も…

2020/10/16
マガジンサミット編集部

新型コロナウイルスの流行によって外出しにくい状態が続き、外出する機会が減ってしまったという人も多いのではないでしょうか。

特に、高齢者の方は外出不足になることで身体の衰えが加速しやすくなってしまうという危険もあります。今回、経済産業省は、そんな高齢者の方々の外出及び移動に関する調査を実施。様々な結果が明らかとなりました。

「高齢者の外出及び移動に関する調査」を実施

全国の 65 歳以上の男女 450 名とその子世代(40~50 代)150 名の計 600 名(電動車いす利用 150 名、車いす利用 150 名、電動車いす・車いす非利用 150 名 )を対象に調査を行いました。

電動車いす利用者はコミュニティ参加に対して積極的な傾向に

まず、電動車いす利用者、非利用者に対して、コミュニティへの参加状況について質問。「電動車いす利用」が 64.7%、「非利用」が 52.7%となり、電動車いす利用者の方がコミュニティ活動に意欲があるということが分かりました。

電動車いすに対するイメージ

続いては、「電動車いす」に対してどのようなイメージを持っているかを調査。電動車いすを利用者の回答は「便利」、「身体がラク」というイメージが上位に。非利用者は「筋力が低下しそう」、「公共の動線が不安」というイメージが上位にあがり、利用者と非利用者の間にイメージのギャップがあることが分かりました。

高齢者の80%以上が「一人で自由にお出かけを楽しみたい」

次に外出が減ったかどうかを質問。全体の67.3%が「外出が減った」と回答した一方で、「1人で自由にお出かけを楽しみたい」と回答した人が 80%を超える結果に。高齢者の方々は自由な外出を求めていることが明らかになりました。

自動車の運転と電動車いすの利用意向

最後に、自動車の運転に不安があるか、さらに電動車いすの利用意向があるかについて質問。運転に不安はないが「今後電動車いすを使ってみたい」と回答した人が 21.6%。、運転に不安があり、「今後電動車いすを使ってみたい」と回答した人は 37.6%と、16%も高い結果となりました。運転に不安がある人の方が、不安のない人よりも電動車いすの利用に興味を持っているようです。

桜美林大学大学院教授 鈴木隆雄先生が語る電動車いすの可能性

桜美林大学大学院教授 鈴木隆雄先生は、今回の調査結果に対し以下のようにコメント。※一部抜粋

「外出は足腰の衰えを防ぐだけではなく、脳に刺激を与えるため、認知機能の活性化、心肺機能の向上、筋肉や骨の維持などの点からも非常に重要となります。外出へのハードルを下げるためであれば、『電動車いす』『シニアカー』などのパーソナルモビリティを安全性を確認した上で上手に活用することも有効だと考えています。後期高齢者が増加する中、運転や健康への不安を含め、今後の移動手段の確保はとても重要な課題となります。パーソナルモビリティは、それらの課題を解決してくれる可能性が大きいと思います。これからの時代のニーズに応える『新しい移動手段』としてポジティブに活用し、楽しい生活をより長く送って頂けたらと思います。」

経産省が電動車いすの普及推進事業を開始!全国5都市で実証実験も

今回、経済産業省では、高齢者の移動・活動を促すだけでなく、自動車運転による事故の減少などにもつながることから、電動車いすの普及推進事業を実施。

高齢者が一人で自由に外出できるツールの一つである電動車いすを普及させていくために、横浜市・調布市・つくば市・京丹後市・静岡市の全国 5 地域で電動車いすを3週間貸与し、高齢者の活動に与える効果や、活用する上での課題を把握し、安全な利用方法を周知していきます。

体と心の両方に対し重要な意味を持つ「外出」。高齢者の方には自分が外出しやすい方法、環境を工夫し、心身共に健康でいてもらいたいと思います。

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