世の中に数多ある職業映画。今まで様々な職業を題材にした作品が作られてきましたが、10月26日から公開の映画『栞』は理学療法士の日常を丹念に描いた作品なんです。
細かいニュアンスや描写の数々がとにかくリアルだと思っていたら、本作のメガホンをとった榊原有佑監督は、実は元理学療法士。監督が自身の経験を元に医療現場を映画化したのが本作なんです。
そもそも理学療法士とは?
理学療法士とは、病院や福祉施設、介護施設、さらにはスポーツ関連施設など様々な分野で活躍している運動のスペシャリストなんです。
本作の主人公も、珍しい症例の病気で入院する子供や試合で下半身の麻痺してしまったラグビー選手の患者を担当しています。
ドキュメンタリーのような日常
幼いときに母を亡くし、長らく実家にも帰っていなかった主人公。患者さんたちの悩みを自分の事のように受けとめ、メンタル疲労気味。そんなタイミングで重い病気にかかった父親が入院して来ます。どんどん弱っていく父親。それでも、なかなか埋められない父親との溝。
そんな中、必死にリハビリをする下半身麻痺のラグビー選手の患者の姿を見て、元気を貰っていく主人公。まるで、ドキュメンタリーのように手持ちカメラで主人公の日常を切り取っていく演出は静かながらも力強し。
リアルな描写の数々
実際のメニューが垣間見えるリハビリシーンや、患者が亡くなったのをパソコン上で知るシーンなど、他の作品ではあまり観た記憶のない描写がリアル。
その辺の描写も元理学療法士である榊原監督の実体験が参考になっているのでしょう。
元理学療法士の監督
実は、本作の榊原有佑監督は、元理学療法士というだけでなく、CM、MusicVideo、TV、企業VP、ドキュメンタリーなどジャンルを問わず、様々な映像分野で撮影、編集、VFXなども自ら行い、腕を磨いてきたお方。本作でも、原案・脚本・監督・編集を兼任。ストイックな映画作りを続けています。
主人公を演じるのは……
主人公で、理学療法士という仕事に真実味を与えるのは、自身もスポーツ健康科学部を卒業した三浦貴大。近年は『キッズ・リターン 再会の時』、『永遠の0』、『サムライフ』、『ローリング』、『怒り』、『追憶』など、様々な映画に出演し、イイ味を出しています。さらに、今年だけでも、『ばぁちゃんロード』、『四月の永い夢』、『のみとり侍』、『3D彼女 リアルガール』に出演と、ハイペースでフィルモグラフィを埋めていく人気者。
本作でも、リアルな仕事っぷりと、静かながらもちゃんと感情の伝わってくる安定の演技力で観客の感情移入をリード。安心して観れます。
ドキュメンタリー風味のお仕事映画『栞』!
確かに、エンターテイメント映画とは言いにくいですが、経験者は語るな職業映画で、見聞を広げたい方には、オススメの一本になっております。
(C)映画「栞」製作委員会