動画制作、動画広告、動画テクノロジーをテーマとした国内最大規模オンラインイベント「VHS VIDEO HELPS SOCIETY」が9月28日・29日に開催されました。本イベントは、VHS実行委員会とイベントの理念に共感したブライトコーブ株式会社を中心とした協賛企業8社によって企画・運営されています。
当日はテーマに沿った特別ゲストや協賛企業、サービスを利用する企業など15社以上が登場。霞が関初のユーチューバー「BUZZ MAFF(ばずまふ)」を運営する農林水産省、アドビ株式会社や三井不動産株式会社といった多彩な企業、団体のセッションが実現しています。
中でも興味深い基調講演を実施したのがラクスル株式会社の小林幸平氏。近年、積極的なテレビCMを展開している同社が「テレビCMがデジタル広告のように運用できる時代へ!ノバセルを活用した運用型テレビCMの極意」をテーマにプレゼンテーションを行いました。
ラクスルと言えば、ご存知の通りネット印刷サービスです。テレビCMで認知し、利用した人も少なくないのではないでしょうか。同社は2015年からテレビCM戦略に注力。約6年で売り上げを約30倍に伸ばしています。広告費として投下した額は約57億円。一方、顧客獲得単価を示すCPAはおおよそ2分の1に改善されています。
テレビCMは高い?効果が分からない?
この理由について小林氏は「コストが高額な関東圏ではなく、ローカルエリアで内容の違うCMを流した。いわゆるテレビCMのABテスト。エリア別、番組別、クリエイティブ別でパフォーマンスを分析し、獲得効率の高いパターンを把握した」と語りました。
小林氏によると一般的にテレビCMは「出稿コストが高い」、「効果が出るイメージではない」、「効果がわかりにくい」などの印象を持っている企業は多いそう。インターネット広告費がテレビCM費を追い抜いたことも「テレビCMはコスパが悪い」と感じる原因の一つかもしれません。
ところが小林氏は「テレビCM費は低下しているのではなく、横ばいで推移している。インターネット広告費が上昇しているだけ。この2つをどう上手く使うか。特に、テレビCMは潜在層へのリーチコストが優秀。まずはローカルエリアでABテストを実施し、最適モデルを作っていくことがテレビCM戦略の鍵」と訴えました。
ラクスルの事例を元に、CM動画の企画から制作、放映、アナリティクスまでワンストップで提供するサービスが「ノバセル」。同サービスを利用したウェザーニュースのCMは、121パターンのABテストを行い、勝ちパターンを見出しました。
また、クラウドワークスのCMはA「仕事が多すぎる」、B「仕事が急すぎる」というユーザーのニーズ別にそれぞれ訴求。そして、圧倒的にAのCMが効果的だったと判明しています。
チャンネルや番組、時間帯とクリエイティブの相性を考慮した最適なテレビCM運用は、非常に理にかなった広告戦略と言えるでしょう。