あまたの雑誌やTVを騒がせた、あの衝撃の『コーロギ混入ラーメン』から4か月。
つねに新しい(バカバカしい)ことに挑戦し続ける『ラーメン凪』が、今度は“空飛ぶラーメン”なるものを始めると聞いて、早速、取材に行ってきた。
店内には、屋台風のカウンター席がならび、なぜか夕焼け空にウルトラマンが飛ぶ。
全部で19ある席は、雲を模した仕切りで区切られタブレットが設置されている。
どうやらここは空に浮かぶラーメン屋台らしい。
- QRコードを使用するラーメン屋さん…初めてかも知れない。この紙ペラが、あとで面白いことになります。
厨房がいっさい見えないのが気になる……が?
自販機を押すと出てきたのは一枚のQRコード。
それをタブレットにかざすと、メニュー画面が出てくる。
麺の硬さや、味の濃さ、量などをタッチして注文して数分待つと……ぅわあ!目の前のレーンに、けっこうなスピードでラーメンが流れてきた!なにが凄いって、まったく汁が零れてないことだ。
感心しながら器をとりよせ、いただきます!。
ああ、いつもの目の前で出してくれる煮干しラーメンの味だ!
なぜ、ラーメン屋が空を飛んでいるのか
そもそも、この“空飛ぶラーメン”は、『ラーメン凪』社長、生田氏が某海賊マンガに出てくる『雲の上の屋台』からインスピレーションを受けたのが始まり。たんなる社長の趣味かと思いきや、実はそこに、ある問題解決を願う秘策があった。
近年、働き手が不足し、飲食業界全体で深刻な問題になりつつある。
『ラーメン凪』でも年間、約1000万の広告費を投じて従業員を募集しているが解消には至っていない。
そこで今回、内装を今までにないアミューズメント的なものに。そして従業員の作業負担を軽くするために、ラーメンが、厨房からレーンにのって自動的に運ばれてくるハイテクシステムを考案。
お客様も従業員も楽しくなれる店舗作りを目指した。
- 空飛ぶラーメンについて熱く語る『ラーメン凪』の生田社長。経済番組から、グルメ誌まで幅広くマスコミの方が取材に集まっていました。
凪ならではのサービスが満載
ハイテクだからと言って、人の温もりのない店では決してない。
注文が入れば「ありがとうございます!」。出来上がれば「ラーメン流れまぁす!」という掛け声。
来店時にスタッフとジャンケンをして、勝ったらコマを進め、ゴールをすればプレゼントがもらえる『人生ゲームスタンプカード』というサービスもあり、むしろ従業員とのふれあう時間は多い。
注文をとって、作って、器の下げるだけが接客ではないのだ。
ハイテクならではの工夫もある。
注文時に密かにルーレットが作動し、当たると煮卵を無料で貰えるなどの特典がある。
実はこれ、注文から出来上がりまでの時間を、パターン分けして計算しており、お待たせしてしまったお客様に、より当りやすくなっているという。
店内たった19席。5000万かけての改装工事!
この店舗、なんと改装費に5000万もかけている。
これは通常のラーメン店の倍以上。
しかも大宮店は一ヵ月約1000万を売り上げる黒字店舗だ。
そこを改装しての試み、さすがの生田社長も見積費をみて、「やっちゃったな…」と思ったそうだが、それでも誰もやらない新しいことに挑戦してゆくのが凪スピリッツ!信念をもって開店した。
支持される味があるからバカもやれる
『ラーメン凪』は、なんといってもその味に定評がある。
20種類の煮干しを使い、ブレンドに細心の注意を払う。煮干しは同種類であっても、産地や時期や作り手(生産者)によって味がかなり変わるという。
スタッフ達は、一定の味を保つために出汁利きを繰り返し、ベテランにもなれば、ひと口の味見で産地も取れた季節も分かるらしい。
- ラーメンは飛んできても、味はいつもの“すごい!煮干しラーメン”。
器が熱すぎたり、こぼれたりしないように工夫があるようです。
大宮店では、注文した煮干しラーメンの旨み成分や、ラーメンを作る過程、凪のホームページの煮干し薀蓄(うんちく)などをタブレット端末で見ることができる。
「ラーメンを作る厨房が見えない分、別の楽しさを味わってほしい。」と生田社長。さらに「今後は煮干しを学術的にも解明し、お客様と共有してきたい」。と煮干バカ全開。
けれど、この熱意があるからこそ大勢のファンがついてくるのだ。あの“煮干しラーメン”が空を飛んでくる大宮店。ぜひ、一度、足を運んでみたらどうだろう。
【すごい煮干しラーメン凪 大宮店】
JR大宮駅、東口より徒歩2分(タカシマ屋前)
大宮駅から215m
12月19日からプレオープン(11:00~21:00)
12月23日11:00から24時間営業開始