第34回『東京オートサロン2016』の入場者の公式発表がされた。1月15日(金)~1月17日(日)の3日間の合計が32万5501人(30万9679人/昨年比105.1%)となり、過去最高を記録している。

若者の自動車離れが言われるようになって久しい。そのなかでカスタムカーの祭典と言われる『東京オートサロン』が、なぜ、そんなにも盛り上がりをみせるのだろうか。






自動車離れなんて、どこ吹く風?車は、いじって遊んで楽しむもの。
そもそも『東京オートサロン2016』は、1983年にチューニングカーマガジン『OPTION』誌初代編集長が、カスタムカー文化を世に広めるべく『東京エキサイティングカーショー』としてスタート。1987年の第5回からは『東京オートサロン』に名称を変更し年々規模を拡大してきた。
カスタムカーとは、市販されているものを何らかの用途のために改造した車のこと。簡単に説明すると、走行性能など運動機能に関わる細かい調整などを施した車をチューニングカーといい、外見を造り替え好みの車体に仕上げてあるのをカスタムカーと呼ぶ。

車を移動手段の一つとしてしか利用しない者にとって、コダワリすぎる車の存在は共感しにくいときもある。地べたに擦れるほど車高の低い車や、ド派手なペイントや装飾、マフラーは爆音をたて、ウーハーが重低音を鳴らし続ける……。カスタムカーの祭典と聞けば、違法すれすれ族車のオンパレードを想像してしまう人もいるだろう。
ところが会場に入ると、レーシングカーや競技用のカスタム車。タイヤ・ホイール・オーデイオなどの専門店ブースの他に、国内外の有名自動車メーカーが、巨大なブースを構えて新車をふくめPRしていることに驚いた。

東京モーターショーにも登場した特別モデルが展示。
ロングノーズプロポーションと低いボンネットラインが特徴。そのボディの美しさは、会場にいるキャンペーンガールやレースクイーンを押しのけてNO1かも。


アニメとコラボレーションすることで、車ファンとは関係ないマニアにも波及しているのがオートサロンの成功の一つ。


自動車産業界をすべて飲み込むような規模の大きさに、とくべつ車に想いれがなくとも、好奇心のメーターがおもいっきり振り切れそうな熱気。ピカピカに光る高級車たちを前に、運転すらしない人でも「こんな車の助手席に乗りたいわぁ」とテンションがあがる。




自動車ならなんでもあり!という懐の深さが、例えば東京モーターショウのような正当なイベントよりも、かえって車に興味のない人にも楽しめる。ただの新車を見るのなら街のディーラーにゆけばいい。水素や自動運転といった新技術よりも、自由やコダワリといった“創る楽しさ”を通して、より車を身近に感じられることが、人気のヒミツなのかも知れない。