【東京☆今夜はここで独り呑み】 ~麻布飯倉 土用の丑の日は創業200年の歴史を食す~

2018/08/06
遠藤 昇輝

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』

今回は<麻布飯倉>に繰り出します。坂あり谷あり歴史あり。起伏に富んだこのエリアは町歩きにうってつけ。現在、港区立麻布小学校の周辺では再開発などの工事が始まり、散策願望を刺激されますが、進路は赤羽橋方面へ。

ある雑誌で「土用の丑の日の特集」を見たら、目指すは創業200年のあの老舗しかありません。そう、五代目野田岩麻布飯倉本店です。注目は正面の看板に書かれた「狐うなぎ」の文字。

川でカニやエビを食し、引き締まった顔が狐のようだったうなぎを評して「狐うなぎ」。つまり天然うなぎを意味しているんです。(なんて粋な表現なんでしょう)さて、独り呑みということで、めざすは本館3階の一番奥の角の席。

テーブルと椅子と畳…。お店の方いわく「畳の部屋で食べたいというお客さんも多いんです」とのこと。(混み合う時間帯は近くの別館に案内されますので、早めの時間がおすすめです)世の中はうなぎの値段が高騰中という話題ばかりだし、“独りメシ”ではなく“独り呑み”なので、リーズナブルに名店の味を楽しめる野田岩自慢の3品を注文。待っている間は、スマホより箸置きと箸袋とコースターを見て過ごしましょう。

丸々と太ったうなぎのシルエットがかわいい箸置き。持ち帰りたい衝動に駆られる完成度です。箸袋には「天然うなぎなので釣り針が入っていることがあるのでお気をつけください」とある。天然うなぎをうたう店はいろいろあるが、箸袋に釣り針注意と書かれているのは珍しく、逆に「本当に天然うなぎを使っているんだ」と感じます。そして、コースターの文言からは五代目の意気込みが伝わってきます。

一品目は「うなぎの煮こごり」。口の中でとろけるゼリーのようなタレとホロホロのうなぎ…旨い!これで650円とは驚きの安さ。スタバのほうじ茶プラペチーノと30円しか違わない。お品書きに「野田岩ならではの逸品」と記されていた理由がわかります。

次は「鰻巻き」。一切れから注文できますが、その存在感は圧倒的。

たった一切れなのにお重に入って運ばれ、着物姿のお姉さんが「失礼します」と、フタを取って去っていきます。ふわふわの玉子焼きにやわらかいうなぎ。それを大根おろしと一緒に…もう美味しくないわけがない。これで540円!フレッシュネスバーガーのアボカドバーガー580円より安いなんて凄すぎる。

煮こごりと合わせて1000円チョットで2品うなぎを堪能したところで3品目。

うなぎ屋でどじょう?と思うかもしれませんが、「柳川(小:1100円)」は野田岩の人気メニューの一つ。しかも(小)を頼めば独り呑みにはジャストサイズ。昔から「ウナギ一匹、ドジョウ一匹」と言われるように栄養価は負けず劣らず。カルシウムはうなぎの9倍もあるし、ビタミDもたっぷりなので大満足。

ビールの泡も手伝ってお腹もイイ感じ。長居は無粋。そろそろシメようか…と思ったその時…「う~ん…」という声が…。振り向くと一人客の男性がちょうどうな重のフタを開けていた。そしてひと口食べて「うぅ旨い」と小声でつぶやくのを聞いてしまった。ヤバイと思って下を向くと、目線の先にあの箸袋の文字。サッと呑んでサッと帰るはずが…ここで「うな重」を追加注文。

結局頼むんかい!)

さずがは「狐うなぎ」の五代目野田岩。もはや説明不要の美味しさです。勢いで「(2番目に大きい)山吹」を頼んでしまいましたが、30代以上の方なら「(一番小さい)菊」で十分だと思います。今年は猛暑が続くそうなので、土用の丑の日は……『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』でいきましょう。

【今回のおすすめポイント】

▶店舗力:☆☆☆☆☆

▶商品力:☆☆☆☆☆

▶サービス力:☆☆☆☆☆

 

「五代目 野田岩」(麻布飯倉本店)

東京都港区東麻布1-5-4

03-3583-7852

午前11時~午後13時30分

午後17時~午後20時

※いずれも最終入店時間。

定休日:毎週日曜日

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遠藤 昇輝
この記事を書いた人

遠藤 昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として数々の「東京の町歩き番組」を手掛ける傍ら“情報収集”と称してテレビ業界の面々が通う「独り呑みの店」を渡り歩く。東京の町の貴重な遺産を紹介するため一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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