絶滅寸前。それでも人気の『屋上遊園地』観覧車

2016/03/26
放送作家 石橋アキ江
観覧車

かつては定番だったデパートの『屋上遊園地』。休日にもなれば、親子連れで賑わいました。今では、全国に数ヶ所しか残っていない昭和的遺産ですが、懐かしくも新しい人気エリアでもあるんです。

はじまりは明治時代の三越から!

1907年(明治40年)に、日本橋三越が『空中庭園』という現在の屋上庭園にあたる施設をつくったのが始まりといわれています。噴水・池・藤棚・盆栽・廻転パノラマ・望遠鏡などを備え、当時の上流階級でお金持ちの方々ためのものだったようです。

大正時代になると大丸京都店が『ローラースケート場』や『音楽堂』を開業したのをはじめ、1924年(大正13年)には松坂屋銀座店が、ライオンや豹などを目玉とした動物園を開園するなど、屋上を活用した施設が徐々に増えてゆきます。

『買い物に行く場所』という大人のイメージのあった百貨店は、家族連れにも来てほしいと次々と屋上に『遊覧所』などを設け、昭和の高度経済成長時代とともに、その盛りをむかえます。

渋谷駅の頭上にロープウェイが走っていた!

なんと、渋谷の東急百貨店には、『ロープウェイ』がありました。東横百貨店(現、東急東横店東館)屋上と、その隣にあった玉電ビル(現在の西館)屋上とを結んでおり、渋谷空中遊覧を楽しむことが出来たんですね!

ビル開発の建設により、わずか2年たらずで廃業となってしまったようですが、この『ロープウェイ』、昭和27年の映画『東京のえくぼ』に登場します。


主人公の社長秘書伸子(丹阿弥谷津子)と社長(上原謙)が、仕事を投げ出して会社を脱走するシーンに使われており、実際に稼働している姿が見られる貴重な場面です。

そんな、子供向け遊具として『ロープウェイ』を開通させていたぶっ飛びエピソードもある東急東横店の屋上遊園地ですが2013年に閉園しました。

infocus
【infocus】渋谷東急東横店の屋上遊園地、惜しまれつつも幕を閉じる
Fujisan.co.jpより

 絶滅寸前。それでも人気の『屋上遊園地』

大人気だった『屋上遊園地』。テーマパークや大型ゲームセンターの出現により次第に姿を消して行きます。また、少子化やデパートの集客率低下などの理由で、採算があわなくなり、現在はテラスレストランや庭園、ビアガーデンなど、仕事帰りの女性客やサラリーマンをターゲットにした施設へとリニュアールされているようです。

 

しかし、そんななかでも、今なお現存する“観覧車”に乗れる屋上遊園地があるんです!



東急プラザ蒲田『屋上ひろばかまたえん』


2014 年3月に46 年間の歴史に幕を閉じ、一旦は休園になりましたが、周辺住民の熱いリクエストに応えて2014 年10 月に復活しました。都内では唯一と言われている屋上観覧車【幸せの観覧車】があり大人気です。

かまたえん

東急プラザ蒲田「屋上ひろば かまたえん」HP
http://kamata.tokyu-plaza.com/kanransha/



丸広百貨店 川越店屋上遊園『わんぱくランド』

Gacktが熱唱する缶コーヒーのCMで使われたのがこの屋上遊園。日本で二番目に小さな観覧車は、1周りする間に、カゴ自体も360度回転するので、移動せずに大パノラマを楽しめ、晴天日には富士山、新宿、さいたま新都心、筑波山、赤城山、秩父連山が一望できます。


そしてもう一つ人気のあるアトラクションが『てんとうむし型モノレール』。遊園地を1周することができるこのモノレールは、年齢制限がないので大人だけでも乗車可能だそうです!


わんぱくランド

丸広百貨店わんぱくランドHP

http://www.namco.co.jp/game_center/loc/maruhiro/?p=facilty_summary

 

ノスタルジックながらも、子供の心を躍らす『屋上遊園地』。おじいちゃん、おばあちゃんを誘って、三世代で訪れるのもいいかも知れませんね。お腹が空いたらデパ地下のお弁当を買いに行く!なんて、なんだか楽しそうな一日なりそうです。

 

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放送作家 石橋アキ江
この記事を書いた人

放送作家 石橋アキ江

"テレビ番組、ラジオ番組の構成や脚本を執筆中。 中学校教員として十年以上の経験から、現場で悩みを抱える多くの人達に人生は楽しいものだと思ってもらえる作品を提供したいと日々模索中。参加作品「神秘に触れる夜」「ADVANCE EARTH」「携帯恋愛アプリMYNAME」など。"

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