地域活性にトランクルームが活躍??シニアと学生がともに暮らす『共生』の実態

2016/10/25
マガジンサミット編集部

少子高齢化による人口減少は世帯構造を変化させ、地域コミュニティの衰退を招いている。とくに高齢独居世帯では、家族はもとより“ご近所”とのコミュニケーションが希薄になりがちだ。

 

一方、若年層では貧困化がすすみ、とくに学生の懐事情は厳しい。1990年代にくらべ奨学金受給率は2倍に増え、親からの仕送りをふくめ学生の所得は減り続けている傾向にある。(独立行政法人日本学生支援機構)親許をはなれた学生にとって、都心の高額な家賃は負担が大きい。

 

そこで「高齢者宅の空き部屋を開放し、学生の下宿先として提供できないか」。そんな、課題に取り組んでいるのが、東京都文京区本郷を活動拠点に地域住民と学校・商店街や自治体・企業をつなぐ、地域コミュニティネットワーク組織『NPO法人 街ing本郷』だ。

出典 『NPO法人 街ing本郷』HP http://m-hongo.com/ 

 

空き部屋を持つ高齢者と下宿先を探す若者の『共生』

『NPO法人 街ing本郷』では、地区に住む高齢者宅の空き部屋に学生を住まわせる『ひとつ屋根の下プロジェクト』という取り組みを2年ほど前から行なっている。

 

メリットとして、独り暮らしをするシニア側の孤立感の解消や生き甲斐づくり、夜間の不安の解消、健康寿命の増進など。また学生側は、寂しさや孤立感の解消、シニアの知恵や経験の共有、大学の近くで格安で住めることなどが挙げられるという。

 

なるほど、学生の街“本郷”ならではの発想ともいえる『ひとつ屋根の下プロジェクト』だが、空き部屋を解放するにあたり、ひとつの課題が浮上したという。空き部屋のモノを整理し処分する際に、捨てたくない物や想い出の品の保管スペースがみつかからず、なかなか空き部屋の確保が進まないのだ。

 

空き部屋は多いのに“人が住めない”現実

かつて家族が暮らしていた空き部屋を、上京した学生や予備校生に提供する試みは以前からある手段であり、最近では専用のマッチングサイトやサービスなどもある。

AERA(アエラ)2016-08-29 発売号 P30
Fujisan.co.jpより

しかし、そのまま部屋が使える状態であればいいが、実際は、長年放置された部屋が物置きになっているなど、人が暮らすことが困難だったりする。

そこで、それらの課題を解決できるのではないかと、全国52店舗、約31,000室のトランクルームを運営する株式会社キュラーズが名乗りをあげた。

シニアと学生の共生。トランクルームが解決の意外!

“シニアと学生の共生”を目指す『街ing本郷』の想いに共感したキュラーズでは“保管スペース問題”の解決に向け、近辺のトランクルームの無料貸出しといった連携を提案。また、預かった品物は『想い出BOX』に梱包し、最寄のキュラーズ店舗にて無料で預かるサービスを10月より開始した。

キュラーズの広報、池田氏は「様々な団体・企業と連携しあうことで、アイディアを想いついたり、地域に根差したコミュニケーションに貢献できると思う。まずは『街ing本郷』さんと協力し、支援活動の気付きを得ていきたい」とし、今後も地元住人の意見をもとに店舗展開している地域との輪を広げてゆく考えだ。

 

平成27101日現在、65歳以上の高齢者人口は、3,392万人と高齢化率は26.7%となっており、東京都の高齢人口は約300万人(前年比7万人増)と増加傾向にある。共に住める環境を増やしていくことで、シニアと若者がともに暮らす『共生』の場が広がり、街が活性化していくことを期待したい。

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