猫を飼いたい人必見!季刊誌『ねこ』の編集長が猫の魅力を伝授!

2016/07/21
大石依里香

私は動物が苦手です。前方から犬が来た場合は歩いて反対側へ渡るか、狭い道なら引き返すほどです。そんな動物嫌いの私ですが、ここ1年ほどの猫ブームに、なんだか猫を飼いたい欲が高まっています。しかし動物初心者なので心配だらけ。なかなか踏み出せずにいる状態です。

 

そこに、季刊誌『ねこ』(ネコ・パブリッシング)の編集長・石倉夏枝さんにインタビューする機会が!あわよくば“猫愛のプロに背中を押していただこう”という個人的な希望を秘めながら、色々なお話を伺ってきました。

空前の猫ブーム。その理由について

「猫ブームが起きている理由は、SNSが大きな要因だと言われています。これまで犬好きの人は、散歩を通して他の犬や飼い主とコミュニケーションできましたが、猫は基本的には散歩をしないので、そういったコミュニケーションができませんでした。それがSNSの発達によって、ねこ好き同士がねこを通してコミュニケーションできるようになったからだと思います」

 

―― 確かにそうですよね!かなり納得です。

 

「あとは日本人が疲れ気味で、フワフワしたものに癒されたいんじゃないかと言う人もいたり、マンションを買う独身女性が増えていて、そこで猫を飼う人が増えた事などもあったりと、様々な事情が積み重なって今の猫ブームにつながっていると思います」

 

―― やはり猫派の編集長としては、今のブームは嬉しいですか?

 

「出版以外で声を掛けていただく機会が増えました。それって、やっぱり猫ブームが関係していると思いますが、私を含め多くの猫好きは、ブームで終わって欲しくないと感じています。なぜなら、20年以上も生きるご長寿猫もいるので、ブームに乗って猫を飼った人が最後まで大切に育ててくれるかが心配です。もちろん、いろんなところでいろんな猫が見られるので、それはそれで楽しいですけどね」

 

『ねこ』編集長は、どんな猫を飼っている?

「実家にメス猫が1匹います。両親が孫のように甘やかすので、今は6kg超えのおデブ猫になってしまいました(笑)。性格は、すごいビビリで昼間はずっと押入れで寝ています。だから、ほとんど写真が撮れないし、なかなか触れ合えないんです…」

編集長の愛猫“ポンズ”さん。

 

「13歳(人間だと70歳くらい)で、結構おばあさんですね。名前は“ポンズ”っていいます。お母さんが“ゆず”で、お父さんが“かぼす”だったので、それで“ポンズ”です」

 

―― 柑橘系の一家ですね。かわいい!

 

「すごい気が強い猫で、私にも「シャー!」って言ってきます(笑)。取材で会う猫の方がヒザに乗ってきてくれたりするので、『ねこ』の取材を通して飼い主気分を味わっています(笑)」

 

猫は人間のことをどう思っているのか?

―― 町田康さん※の猫エッセイなどを読んでいると、猫の方が人間より圧倒的に偉い、立場が上の存在であるというようなことが書かれていますよね。

 

※町田康 作家、ミュージシャン。10匹の猫と暮らす。著書に『猫にかまけて』『膝のうえのともだち』などがある。

 

「“猫様”ですね、はい。この間、取材先で言われたんですが、猫好きの人は「猫が“~してくれた”」ってよく言うって。『こっち向いてくれた!』とか。私たちはごく自然に言っていたのですが、それって普通に聞くとおかしいみたいです(笑)。明らかに自分の立場の方が低いという」

 

―― ご自分の猫に対しても?

 

「はい、もう全然。完全に猫の下僕です。うちの猫は私が寝ていると午前3時4時に「ごはんだ」って言って起こしに来ます(笑)。なかなか起きないと枕元を一生懸命掘ったり、下手すると顔を叩いてきたり、手を口の中に入れてきたり。私の布団のシーツはいつも枕元がボロボロです(笑)」

 

―― やはり猫は人間よりも上なのですね(笑)。猫飼うのって大変そうな気がしてきました・・・。

 

「でも、それがまた嬉しいんですよ。(また来た!)ってニヤニヤしちゃう」

 

―― 猫好きの方の特徴はどんなところですか?

 

「じつは、猫派と犬派で違いがあって面白いんです。犬好きの人は【犬種】で“好き”が分かれ、自分の飼っている犬の種類が一番好きだといいます。だから、犬の雑誌は【犬種】ごとに分かれていることが多いですね。でも猫好きは種類関係なく“どの猫でも好き”という人が多く、野良猫でも地域猫でも、雑種でも血統書付きの猫でも全部が好きなんですよ」

 

雑誌『ねこ』のこだわりと伝えたい想い

――『ねこ』は、他の猫雑誌と比べて写真の質が高いという声が多いようなのですが、どんなこだわりがあるのでしょうか?

 

「元々、猫を飼っている人も、飼っていない人も楽しめる雑誌にしたいという想いがあるので、だだ、猫のみを写すのではなく、地域ごとの特集や飼い主さんとの関係など“猫のいる生活や風景”を大切にしたいなぁと思っています。また、見ているだけで楽しかったり、癒されてもらいたいので、写真は大きめです。猫だけでなく、飼い主のお気に入りやインテリア、風景なども紹介しているので、それらをバランス良く撮れるカメラマンにお願いしています」

ねこ
2012-10-12発売号(♯84)P12
【長崎、尾曲りねこを探しに行こう】しっぽに注目!!長崎のねこといえば、しっぽが曲がったねこが多いことでも有名なのです。

 

―― 誌面に出てくる飼い主さん自身も、家の中も、すごいオシャレですよね。

 

「アウトドア派が多い犬好きの方と比べて、猫好きの人はどちらかというとインドア派の人が多いような気がしますね。だから、家での時間を快適に心地よくしたいという気持ちが強く、インテリアなどにもこだわりがあるような気がします」

ねこ
2015‐01‐10発売号(♯93)P44
【お店を盛り立てるのは名物看板ねこの役目】Café Naturaのねこ

 

―― やはり、猫への気持ちって写真に出るものですか?

 

「猫を抱いた時の人の顔が、不思議と皆さんすごく良いんですよ!普通の状態で写真を撮られると、どうしても顔が強張ってしまう方が多いのですが、猫を抱くとみんな優しい表情になりますね。猫ってすごいなーと思う瞬間ですね」

 

―― カメラマンも猫好きな方が多いのですか?

 

「そうですね。「ねこ」の撮影はキリがないんです。じゃあ、これで終わりですって言っているそばから、かわいい仕草とかされるとまた撮影モードになっちゃいますね(笑)」

 

私の「猫の下僕になりたい」欲は高まってきました。猫に振り回されてみたいです!しかし猫について考える時、猫たちが置かれている重い現実問題も忘れてはいけません。

 

―― 猫が全国で年間に約8万頭も殺処分されているという現実があると聞きました。『ねこ』では、猫の保護も応援されているんですよね?

 

「はい。【SAVE the CAT】と題して、猫の保護活動を行う団体や地域などを毎号ご紹介しています。捨てられたり、母猫とはぐれてしまった飼い主のいない猫を保護して、避妊去勢手術を施し、里親を見つけたり、地域で見守る活動は全国で広がっています。私たちも1匹でも多くの猫を救いたいという気持ちから、『ねこ』でオリジナル商品を作って、今年から販売を始めました。その商品の売上の一部は保護団体や地域に寄付していきます」

プロジェクトから生まれた「ねこ」オリジナル商品。写真は豆皿。売上の一部はねこの保護活動を行う団体などに寄付されます。
こちらは編集長の愛用品!アパレルブランド『マーブルシュッド』とのコラボレーションで誕生した、『ねこ』オリジナルカラーのiPhoneケース。

 

――『ねこ』で販売しているグッズはどれもオシャレで大人でも使えるものばかりという印象ですね。

 

「現実的にすべての方が猫を飼えるわけではありません。それでも少しでも猫の役にたちたいと思われている方はたくさんいます。その方たちが商品を買うことで猫が救われ、さらに自分たちの生活がもっと楽しくなれる物だったら、どんなに素敵だろうと思って……。【SAVE the CAT】プロジェクトは、この思いに賛同してくれたクリエイターさん達にご協力いただきながら作っています」

 

初心者が猫を飼うために知っておきたいこと

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この記事を書いた人

大石依里香

放送作家。1982年生まれ。 バラエティ番組のADとDを経て、30歳の時に夢だった放送作家に転職しました。辛い時は種田山頭火の句集を読みます。実績「おじゃ MAP‼」 「おはスタ」「林先生が驚く初耳学!」など。

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