「人に左右されたら負け」スケートボードを愛する宗教家・友利晃太郎

2018/03/14
放送作家 小嶋勝美

沖縄在住のスケーターならその名を知らぬ者はいないと言われる、友利晃太郎氏。彼の行う宗教活動“ユーリ教”とは一体どんな宗教で、どんな活動を行っているのか?ある沖縄スケーターから話を聞き、気になったのでネットで検索をしてみたが何の情報も見つからない…。

そこで!2月13日〜15日にパシフィコ横浜で開催された国内最大のボードカルチャーとファッションの展示会インタースタイルに訪れていた友利晃太郎氏をキャッチ!おそるおそる取材を申し込むと、特徴のある沖縄訛りでインタビューに応じてくれた。

ユーリ教・友利晃太郎氏にインタビュー

※友利晃太郎氏

——簡単に自己紹介をお願いします

「友利 日光(にっこう)太郎です。サーティーワン。スケート歴は20年…いや、5年ですね。(片言の日本語で)ニュースクール!スーパーキッズたちと一緒」

——日光太郎?失礼ですが、とても31歳には見えないんですが…。今までスケートボードの大会に出た事はありますか?

「大会も出るけど、心が折れますね。大会は出るもんじゃない。同窓会みたいな感じで楽しいんだけど、出るもんじゃない(笑)」

——沖縄スケーターとの会話で“ユーリ教”という言葉を度々聞き、ネットで検索をしてみたのですが何も情報がありません。一体どんな活動をしているのですか?

「人を幸せにし、誰にも迷惑をかけないで皆で楽しんでいこうという団体。スケートボードだけでなく何でもありという団体です」

——(全然わからない)…作ったきっかけは何ですか?

「きっかけは〇〇(過去に世間を騒がせた宗教団体)。〇〇がテレビに出てきた時に、そんなでも金儲けが出来るならオレでも金儲けできるんちゃう?から始まりました。これは本当」

——ユーリ教のバックボーンにスケートボードはあるんですか?

「スケートボードがないとユーリ教は作ってないからね。スケートボードからユーリ教という考え方が出来上がっているから。その上で、人に左右されない。〇〇みたいな、ああいう儲け方もあるなっていうのでユーリ教を作っているので。一応、会員制で男は30万円。女の子はタダ。でも女の子は0人です。男は今3人くらいいるかな?5人くらいか?」

——今、会員と言いましたが信者ではない?

「いやいや、信者です。日光太郎を愛している人たちです。その中にはスケートをしている者もいれば、していない者もいる。一時期は洋服の提供もしていたけど、あいつら活動しないから今は提供ゼロ!」

——洋服を提供していたということは、やっぱりスケーターに対してスポンサー的な活動を?

「そうそう、要はユーリ教を広めないとならないから。でも誰も広めてくれないから、俺一人で頑張って自分で広めてる。さらにキュキっていうスケートチームも別であるんですけどね」

※オーリー クレイルグラブ ボディバリアル/ Photo by ken_sakumoto

——どんなスケートチームなんですか?

「それは俺が沖縄で高校生の時に作ったスケートチームです」

——キュキにはどんなスケーターがいるんですか?

「DJ C-LINE(※1)という有名人が一人います」

(※1)DJ C-LINE Ollie magazineやTRANCE WORLD SKATEBORDING JAPANなどのスケートボード雑誌にも取り上げられた事があるスケーター、現在はDJとしても活動している。

——ひとりしかいないんですか?

「他は滑ってるか知らない。活動しているのは俺だけ。あ!沖縄のMC大ちゃん(※2)もチームキュキです。大ちゃんスケート楽しんでるかなぁ!?」

(※2)MC DSK8(MC大ちゃん) 2015年チーム“キュキ”に加入。沖縄県内でのデモ・ショーケース・大会などはMC DSK8の声から始まると言われる程、沖縄のスケートシーンに深く関わっている。

——今後スケーターをサポートするような予定はあるんですか?

「それは今考えているところですね。誰か一人めっちゃ上手い奴ピックアップしようかなぁと思って、そしたら売れるかなぁと。世の中金ですよ」

——そのユーリ教Tシャツはどこで買えるんですか?

「沖縄では2店舗。自分の知り合いのアパレルショップでBLENDってお店とSAIKICKSというお店です。SAIKICKSはアロハとかサーファーの店でオーナーがスケーター。BLENDは元BMXライダーのお店で、どっちもめっちゃ仲いい

  • BLENDは沖縄県中頭群北谷町美浜2-2-4に位置。
  • SAIKICKSは沖縄県中頭群北谷町港8-18に位置。

値段は三千五百円。安いでしょ?だからオレの利益がない。利益はタバコ代くらいの感じで。でも、今回のこのTシャツはマジで好評らしいです」

——ネット通販はないんですか?

「やらないですね。やればって話もあってネットに興味はあるけど……。SNSも興味はあるけどやり方がわかりません(笑)」

——では、どうしたら晃太郎さんの活躍を見れますか?

「panic roomじゃないですか? たまに才さん(※3)と一緒に滑っているのは僕です! 他にはいろんな人のインスタとかにチラホラいるかと(笑)」

(※3)才哲治 初の沖縄県出身プロスケーター。2006年・2007年・2009年にAJSA SKATEBORD CHAMPIONSHIPにて年間グランドチャンピオンに輝く。現在も精力的に撮影を行う他、沖縄でのスケートボード普及の為、スクールやコンテストなどを開催している。また、panic room projectと題しYouTube上に沖縄のストリートシーンを中心とした発想豊かなスケートボード動画の配信を定期的に行っている。

——本当に今31才なんですか?

「サーティーワン。日本語で言わないで」

——すみません…。ちなみにユーリ教のコンセプトみたいなのものはあるんですか?

「人に左右されない、左右されたら負け。とにかく日光太郎が頑張っていれば下が付いてくると思って今頑張ってるんです」

——晃太郎なんですか?日光太郎なんですか?

「いろいろ名前があるんです。チームキュキの場合は晃太郎、ユーリ教の時は日光太郎、スケートボードの大会に出る時は友利日光太郎ですね。AJSA(アマチュア戦)も4年くらい出てるけど、登録の時の年齢は永遠と変わらない、サーティーワンです」

——若いスケーターに向けてメッセージはありますか?

「メッセージないでしょ、あいつらに。天才すぎるんだもん。うますぎるからね、言葉がないってやつでしょう。今の子、クソガキでもスタイル持ってるから。ある意味神ですよ、あいつらには勝てない、絶対に。でも…気持ちでは勝つ!!!というのがメッセージです」

※インタースタイルで再会した沖縄出身のプロスケーター砂川元気と

——万が一、ユーリ教に入りたいという方がいた場合、手続きはどうすればいいですか?

「直接俺に会いに来て、30万円払えばすぐ入れます。5万円でもいい、3万円でもいい、ビールでもいいかもしれない。てか、俺を好きなやつならユーリ教にいくらでも入れます」

——では、沖縄のどこに行けば会えますか?

「沖縄のどっかにいるよ(笑)」

スケートボードを愛する形

今回、インタースタイルで行動を共にしている間、コンビニで買ったワインを片手に日本全国のプロからアマチュア、キッズからベテランまで幅広い層のスケーターと楽しそうに話している晃太郎さんの姿が印象的だった。

晃太郎さんは本当の自分のことは多くは語らない(ちゃんと仕事もしており、スケート歴も20年以上になる事を筆者は知っている。そしてもちろん31歳ではない事も知っている)しかし、彼から滲み出る人間性はとても心地いいものであり、気がつけば皆を笑顔にする不思議な力がある。

インタビューでは「スケートボードからユーリ教という考えが出来ている」と彼は言い、「人に左右されない、左右されたら負け」と語っている。こうした彼なりのスケートボードを信じ、愛する形がユーリ教なのかもしれない。

(念のため、カルト宗教の定義を調べてみたが唯一当てはまったのが「多額の寄付金を要求される」とある。しかしこれに対しては最終的に「ビールでもいいかもしれない」と言っているので当てはまらない)

結局、晃太郎さんの人柄についてはわかったが、ユーリ教に関しては何だかさっぱりわからなかった。どうしても気になる人は沖縄に会いに行ってみてはいかがだろうか。

最後に、彼は3泊4日で東京に来ていたにも関わらず、ワインとスケートボード片手に小ぶりのリュック一つ背負って羽田空港へと向かって行った。

 

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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